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祝祭 — カネコアヤノ

2026年6月11日

祝祭 — カネコアヤノ

「祝祭」は個人的にとても思い入れのある作品だ。2022年の夏に最初に聴き、それがきっかけでカネコアヤノの大ファンになった。ファンの間では「燦々」の方が評価されることが多いが、個人的にはこのアルバムの方が気に入っている。ここに記載するレビューの多くはあくまで僕の解釈だが、自分で聴いて考えてみて欲しい。

このアルバムで繰り返し現れるテーマの一つが大人になることへの抵抗だ。「Home Alone」や「アーケード」は反抗期を彷彿させるフレーズが多く、意地でも生意気でいたい、幼少期の好奇心を捨てたくないという思いが伝わってくる。この抵抗と同時に、恋人との交際の描写がされている。「序章」の歌詞の一つにあるのが「世界のことなんか 知りたくなかったのに 知識が増えるほど ふたりでおしゃべりしたいと」。大人になることから逃げたくて、恋愛に走る姿は若気の至りなのかもしれない。

ラストナンバーの「祝日」は、個人的にはこのアルバムで一番好きな曲。「アーケード」の力強いエレキギターの直後に流れる「祝日」はアコギでの弾き語りで、対比が素晴らしいと思う。曲の内容は切なく、恋心を伝えようとするも相手が振り向いてくれなく、片思いの曲になってしまう。それに加え、「これからの話をしよう 祝日 どこに行きたいとか」という歌詞は愛を直接伝えずに、共に未来を考えようと呼びかけている。とても深い愛情表現があるので愛の曲と捉えるのも自然だが、思いが一方的だという事実を加えると曲全体の意味が変わる、とても考えられた歌詞だと思った。

このアルバムはサウンドに関しても申し分ない。カネコアヤノの歌声は独特で、時には力強く、時には繊細だ。曲によりディストーションの強いエレキ、バンジョーのアルペジオ、ソロの弾き語りなどをうまく使い分けている。この使い分けを最も表しているのが「グレープフルーツ」だと思う。Aメロは比較的静かな歌声で、楽器はエレキのみ。しかし曲が続き、ベースやドラムが入りサビが強調される。当たり前のことに聞こえるが、カネコアヤノの歌声は強弱がしっかりしていて対比がわかりやすく、インパクトがある。